もし、よろしければ英語を声に出し繰り返してみて下さい。
December 3, 2025.
2025年12月3日。
We’d like to tell you about a wonderful religious ritual taking place in Shimane.
島根で行われる、素晴らしい神事についてお伝えします。
This is no ordinary festival.
これはただの祭りではありません。
At Miho Shrine in Shimane Prefecture, a religious ritual is being held that actually re-enacts the “Land Transfer Myth.”
島根県の美保神社で、「国譲り神話」を実際に再現した神事が行われています。
The land of the gods is being passed on.
神様の国土が引き継がれるのです。
It is said to be extremely rare, even in Japan, for a myth to be preserved as an “actual ceremony,” and for it to be performed on a boat.
神話が「実際の儀式」として保存され、しかも船上で行われるのは、日本でも非常に珍しいと言われています。
The setting is Miho Bay.
舞台は美保湾。
A special boat called a “Morote-bune” sets sail and re-enacts the story of the Land Transfer.
「諸手船」と呼ばれる特別な船が出航し、国譲りの物語を再現します。
The rocking of the boat, the sound of the waves, and the gestures of the priests.
船の揺れ、波の音、そして神職たちの所作。
You’ll feel as if you’ve traveled back in time to another era.
まるで別の時代にタイムスリップしたかのような感覚に襲われるでしょう。
“Was there really a myth?”
「本当に神話があったの?」
All of your doubts will be blown away as you experience the myth before your eyes.
目の前で体験する神話を通して、どんな疑問も吹き飛ぶでしょう。
It’s truly a live Japanese spiritual performance.
まさに日本のスピリチュアルライブパフォーマンスです。
Even more amazing is that this ritual is said to have been carried out since the Age of the Gods.
さらに驚くべきは、この神事は神代から続くと言われているということです。
The gestures, costumes, and boat…
所作、衣装、船…
All of them are said to be imbued with meaning.
どれも意味が込められているそうです。
If you’re taking photos, try to capture the moment the ship sets sail out to sea and the expressions of the priests calmly facing each other.
写真を撮るなら、船が海へ出航する瞬間と、穏やかに向き合う神官たちの表情を写真に収めましょう。
These two moments will surely make for some of the best photographs you can take.
この二つの瞬間が、最高の一枚となるでしょう。
The myth of the transfer of the country is about opening up the future through giving, not through conflict.
国譲りの神話は、争いではなく「譲ることで未来を切り開く」というものです。
This message resonates with us today as well.
このメッセージは、現代に生きる私たちにも響きます。
The radishes in my fields will soon be ripe.
畑の大根は、そろそろ実りが増します。
If you’re making miso soup for breakfast, adding chopped radish leaves will enhance the aroma.
朝食の味噌汁を作るなら、刻んだ大根の葉を加えると香りが増します。
Just like in the myth, passing on wisdom is important.
神話のように、知恵の伝承は大切です。
🛶 美保神社 諸手船神事(もろたぶねしんじ)の関連情報
1. 諸手船神事の概要と役割
- 祭事日: 毎年12月3日(固定)。
- 神事の再現内容: 『古事記』や『日本書紀』に記されている「国譲り神話(くにゆずりしんわ)」の一場面を、儀式として再現するものです。
- 国譲り神話との関係:
- 大国主神(おおくにぬしのかみ)が治めていた出雲の国を、天照大神(あまてらすおおみかみ)の使者(建御雷神:たけみかづちのかみ、天鳥船神:あめのとりふねのかみなど)が訪れ、平和的に国土を譲るよう交渉した物語です。
- 諸手船神事は、この神話の中で、美保神社の祭神である事代主神(ことしろぬしのかみ)が、父である大国主神に「国を譲るべき」と進言し、その意思を示すために船に乗って漁に出たとされる場面を再現するとされています。
- 「諸手船」の特徴:
- 神事に使用される船で、通常の漁船とは異なります。
- 船首には「千木(ちぎ)」という十字に組んだ木材が立てられ、船体には神の使者を迎えるための忌竹(いみだけ)が立てられます。
- 漕ぎ手は「青柴垣(あおふしがき)」と呼ばれる装束をまとい、2隻の船が美保湾を漕ぎ回る厳かな儀式です。
2. 美保神社と「国譲り神話」の舞台
- 祭神: 主祭神は事代主神(えびす様)と、その母である三穂津姫命(みほつひめのみこと)。
- 神話の地: 美保神社が鎮座する島根県松江市美保関町は、「出雲国譲り神話」における重要な舞台の一つです。事代主神が美保の「青柴垣(あおふしがき)」に隠れて身を引いた(=国譲りに同意した)場所と伝えられています。
- 国譲り神話と両参り: 国譲りの交渉の場であったとされる出雲大社(大国主神)と、事代主神を祀る美保神社は、セットで参拝することでよりご利益があるとされる「両参り」の習慣があります。
3. 文化財・学術的価値
- 重要無形民俗文化財: 「諸手船神事」は、古代の神話・儀式が極めて古い形を残して伝承されているとして、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
- 船を使った神事の珍しさ: ご指摘の通り、神話の再現を社殿ではなく海上の船上で、しかも船の形や所作が古代の様式を色濃く残している点で、日本全国でも特に珍しい神事の一つとされています。
美保神社と国譲り神話の関係
1. 主祭神と神話での役割
美保神社の主祭神は、事代主神(ことしろぬしのかみ)です。一般には「えびす様」として知られ、漁業・商業の神様として信仰されています。
この事代主神は、国譲り神話の主人公である大国主神(おおくにぬしのかみ)の息子にあたります。
国譲り神話における事代主神の役割
- 交渉の舞台: 天照大神(あまてらすおおみかみ)が遣わした使者(建御雷神など)が、大国主神が治める国(葦原中国)を天孫族に譲るよう交渉するため、出雲へやってきます。
- 決定的な進言: 大国主神は、自分の子供たちに意見を求めます。このとき、事代主神が美保の地で漁(または遊猟)をしていました。
- 平和的解決への導き: 使者が美保に来て事代主神に尋ねると、彼は「この国は、天神の御子(天孫族)にお譲りすべきです」と答え、国譲りに同意する意思を示しました。
- 神事の起源: 事代主神は同意の意思を示すため、船に乗って沖に出ると、船を漕ぎ出し、自ら青柴垣(あおふしがき)を造ってその中に隠れてしまいます。これは、「国を潔く天孫に譲り、自らは身を引く」という姿勢の表明であり、平和的な国譲りを決定づける出来事となりました。
2. 美保の地の神話的意義
美保神社が鎮座する美保関(みほのせき)は、この事代主神が国譲りの意思を固め、船出した場所として、神話の中で極めて象徴的な意味を持ちます。
- 「譲る」ことの象徴: 国譲り神話は「戦争による奪い合い」ではなく、「平和的な合意と継承」を描いています。事代主神が美保の海で船を出し、身を隠すという行為は、「争いを避け、譲ることで秩序と未来を切り開く」という神話のメッセージを体現しています。
- 神事の再現: 毎年12月3日に行われる「諸手船神事」は、まさにこの事代主神が使者に同意の意を示し、船を漕ぎ出す一連の場面を再現しているのです。
3. 「両参り」の習慣
国譲り神話において、交渉相手となった大国主神を祀る出雲大社と、国譲りのキーパーソンとなった事代主神を祀る美保神社は、古代から深い関係にあります。
この二社を参拝する「両参り(りょうまいり)」という習慣は、出雲地方独特の信仰であり、国譲り神話の物語性が、現在も人々の信仰に生き続けていることを示しています。


